冠省.  先週(令和4年9月21日)、中村寿夫弁護士が告訴人となって始まった名誉毀損の第二回公判が松江地裁の刑事法廷で行われました。刑事被告人は、私です。
 犯罪人として刑事法廷に引っ張り出されたのは、平成8年の脱税事件(冤罪)以来二度目のことです。この度は逮捕のない在宅起訴でしたので、前回のように手縄腰縄付きではありませんでした。
 傍聴席は、前回のように超満員ではなく、私の息子と松江商業時代からの友人3人、告訴人側の山陰総業有限会社の田中浩二社長、來海晶子他4人、一般人3人の計13人ほどでガラガラの状態。報道関係者は一人もいないようでした。
 この日の法廷では、告訴人・中村寿夫弁護士の証人尋問が30分ほど予定されていましたので、一体この人物が何を喋るのか興味津々だったのです。

 裁判官から証人としての中村寿夫弁護士に対して、偽証罪(刑法169条)の告知がなされてから始まった証人尋問でした。
 偽証罪は、虚偽告訴罪(刑法172条)と同様に、「三月以上十年以下の懲役に処する」と規定されている重大犯罪です。
 弁護士の資格を持っている中村寿夫証人、当然のことながら、裁判官からの告知の意味するところは知っています。虚偽の陳述をした場合には、「三月以上十年以下の懲役」に処せられる可能性がある訳ですから、法廷での中村寿夫の陳述は極めて重い意味を持つものです。
 中村寿夫は検事による尋問に対して、五つほどボロを出しました。嘘に嘘を重ねてきた中村寿夫が、まさに語るに落ちたのです。中でも一つだけ、明確な虚偽の陳述をしています。
 
 中村寿夫が行なった明確な虚偽の陳述とは何か? それは、検察官の主尋問に対して、「山根が292日の勾留、拘置中に、黙秘を貫き通した」と明言したことです。
 私は黙秘どころか、松江刑務所拘置監で私の取り調べにあたった中島行博検事の理不尽な全ての尋問に対して大真面目に答弁し、その全ては検察官面前調書(検面調書)にしっかりと残されています。
 中村寿夫証人はこの日の法廷で、

 「冤罪を創る人々-国家暴力の現場から」はよく読んだ。内容に不正確なところはないし、嘘も含まれていない。」

 と証言しており、私が中島検事と大ゲンカしながら検面調書の作成に協力したことは知悉しているはずです。

 20分の休憩の後に再開された法廷で弁護人からの反対尋問、

 「先ほど証人は、山根が検事の取り調べに対して黙秘を貫き通したと陳述されましたが、一体どのようなことでしょうか」

 に対して、中村寿夫の様相が一変。それまで胸を張って陳述していた中村寿夫弁護士の眼はウツロになって宙を泳ぎ、口調も急に早口になり陳述がシドロモドロに。言論封殺を目的とする「スラップ訴訟」(注)で、中村寿夫弁護士が嘘に嘘を塗り固めてきた虚構の土塁が、この「黙秘」という虚偽の陳述によってガラガラと音を立てて崩れ去ったのです。
 “丈の堤も蟻の一穴より崩る”を地でいった場面でした。


 (注)「スラップ訴訟
(Strategic Lawsuit Against Public Participation) 恫喝訴訟のこと。(訴訟の形態の一つであり、特に金銭さえあれば裁判が容易に起こせる民事訴訟において、誹謗中傷を除いた公共の利益に関わる反社会的言動・行為への真実性又は真実相当性のある批判・発信に対して、自らは裁判結果で赤字となろうとも名誉毀損を主張し、弁護士費用・時間消費・肉体的精神的疲労などを相手に負わせることを目的に起こされる加罰的・報復的訴訟を指す言葉である。-ウィキペディア)

 (注)「スラップ訴訟(Strategic Lawsuit Against Public Participation) (ある程度の発言力や社会的影響力のある、社会的に優位といえる立場の者が、特に発言力や影響力を持たない相対的弱者を相手取り訴訟を起こすこと。強者が弱者に対して訴訟をしかけることで、半ば社会的な恫喝あるいは報復として機能する。-新語時事用語辞典)